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オリジナルの官能小説です。 男女ともに楽しめる作品を目指します。
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ベッドに腰掛けながら少女がシャワーを終えるのを待つ。
眼鏡を外し、何となく、ただ見つめる。
自分の置かれた状況に、不思議と疑問も疑念も浮かばなかった。
眼鏡を掛けなおして簡素なホテルの部屋を呆然と眺めた。
腰にタオル一枚巻いただけの姿で、シャワールームを見つめる。
しばらくして、少女がシャワールームから現れた。
褐色に焼けた肌に似合う短パンとサンダル。
肩に掛かる程度の明るい茶髪
まだ愛らしい幼さが残る顔立ち。
出会ったとき、いかにも現代的といった印象を持ったが、バスルームから現れた少女は若干大人びて、健康的な色香を漂わせている。
バスタオルだけを身体に巻きつけ、全身から立つ蒸気と、少し濡れた髪から零れる雫が、妖艶さを醸し出している。
日焼けした肌には水着の痕が残り、本来の肌の白さとのコントラストが眩しくさえ見える。
少女はこちらに視線を向けず、睨み付けるように遠くを見つめている。
その表情には、怒りと、苛立ちが混ざり合い、愛らしい顔立ちを歪めさせている。
それは、理由もなく知らない男に付いてきた自分自身への感情か、目の前の男への憎しみか、彼女自身も理解できないといった様子だ。
部屋の隅の方で立ち続ける少女に俺は問いかける。
「歳は?」
「18」
少女はぶっきらぼうに答える。
「名前は?」
「……」
「処女か?」
無言のまま首を横に振る。
「何人とした?」
「……」
「回数は?」
「……」
少女は答えず壁を見つめている。

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│2008/10/25(土)20:00
エリと付き合い始めて、1ヶ月以上が経とうとしていた。
街は夏の暑さを忘れ、秋の装いが始まっている。
仕事の後、時間を見つけては一緒に食事をしたり、休日は特に用がない限り、共に出かけ、映画や買い物、行楽地に出かけたりしていたが、男女の関係には至っていなかった。
高校生の付き合いのよう、いや、それ以下かもしれない。
未だにキスはおろか、手も繋ぐことさえ出来ていない。
触れられることを避けられているような気配さえ感じるのだが、エリの様子は変わることなく、笑顔で、楽しそうに見える。
街を歩きながら、横を歩くエリを肩越しに見つめる。
「今日は人が多いね」
こちらに向き直りながらエリが話しかけてくる。
土曜日ということもあって、夜になっても街はいつも以上の活気に満ち、多くの人が行きかっている。
「この後どうする?」
俺の質問にエリは答えを返さない。
「良かったら……ウチに遊びに来る?」
これまでにも数回同じ言葉を言っているが、承諾を得たことはなかった。
会社で毎日顔を合わせ、こうも度々一緒にいるというのに何の進展もないことに俺は切なさと焦りを感じていた。
単に貞淑なだけなのかもしれない。
それでも、ただ一緒にいたい、そう思っていた。
心の隅に他に男がいるのでは、という、もやもやした思いを一緒にいることで晴らしたかった。
エリに対する性的な欲求もあったが、それ以上に懐疑心が胸の奥に芽生え始めていた。
「……」
エリは俺の方を見つめ、
「また今度、その内遊びに行くね」
いつものように少し微笑む。
「………そう」
落胆を見透かされないように返事をして、駅の方へと足を運ぶ。
「いつかエリの部屋にも遊びに行ってもいい?」
話を切り替えるようにエリに話しかける。
「うーん。 掃除してからね〜」
「汚くてもいいよ」
「やだ〜。 恥ずかしいよ」
いつものような丁々発止のやり取りを交わし、駅でエリを見送る。
振り向くこともなくエリは人ごみに消えていった。
強い落胆と失望、少しの怒りが身体を巡る。
心の奥で、自分の精神を支えていた小さなたがが外れるのを感じる。
堰を切ったように醜い感情があふれ出し、ドロドロになって全身を覆い、身体を突き動かす。
踵を返して街の雑踏の中に再び戻り、周囲を見定めるようにゆっくりと歩く。
獲物を狙う狩人のような瞳で、人々を見渡す。
狩るべき対象は分かっている。
ファストフード店の前で携帯電話を操作しながら座り込む、高校生くらいの女の前で立ち止まると、俺はその女の腕を掴んだ。
少女は驚いた顔で俺の顔を見上げる。
「な…、何よ」
俺は睨み付けるような眼光で顔を近づけ
「したいんだろ」
と、小声で問いかける。
「……」
少女は口をきつく結び、こちらを見つめてくる。
「したいなら、ついて来い」
それだけ伝えると、俺は背を向けて歩き出した。
数歩下がった位置から少女がついてくるのが感じられた。
歩調を緩めることなく歩き、ホテルの前で立ち止まる。
背後を確認すると、少女の姿は見えなかったが、人々の頭より高く燃える赤い炎がこちらに近づいてくるのが確認できた。
俺はその炎を見つめ、ニヤリと口の端が歪むのを止めることが出来なかった。
俺の中の理性が、欲望へと変わっていくのが感じられた。
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│2008/10/17(金)20:00
鏡の前に立って最後に身だしなみを確認する。
髪を撫で付けて、襟を直し、ヒゲの剃り跡を確認する。
ふと、地味な黒縁の眼鏡が気になった。
せっかくのデートにこの眼鏡はセンス悪いだろうか…。
そう思いながら眼鏡に手を掛ける。
ヒヤリと冷たいフレームに触れながら、数秒考え込んだが、改めて掛けなおすと、俺はマンションを後にして、電車へと乗り込んだ。
日曜日の繁華街は老若男女でごった返し、活気とパワーで満ち溢れている。
時計を確認して、駅の出入り口をぼんやり眺めながら、俺はエリからの連絡を待つ。
待ち合わせの2時を少し過ぎた頃、携帯電話が鳴った。
「今、駅に着きました」
いつものように明るい声が携帯のスピーカーから聞こえる。
「駅を出たところにいるよ」
「えーっと、目印になるようなものあります?」
会話の途中で、周囲をきょろきょろ見渡すエリの姿が見えた。
手を振りながら歩み寄る。
こちらの姿を見つけて、エリが笑顔を見せて駆け寄ってきた。
肩に掛かるストレートの黒髪。
薄い花柄をあしらった膝丈のワンピースにサンダル。
シンプルなネックレスと、ピアス。
初めて見る休日のエリは、想像通りの可愛らしい、清楚なスタイルだ。
「こんにちは!」
少し顔を上気させてエリは微笑む。
俺も素直に顔がほころぶ。
「今日は、映画付き合ってくれてありがと」
「私も見たかったですから」
ニッコリ微笑むエリと肩を並べて歩き出す。
映画を鑑賞した後、食事を取りながら映画談義に花を咲かせた。
一人暮らしで暇を持て余し、よくレンタルショップで映画やドラマを借りてくるのだ、とエリは笑いながら話す。
お互い見た映画やドラマの話しで盛り上がり、店を出た頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。
それでも街は人や車で賑わい、溢れる明かりは昼夜を忘れさせる程輝いている。
「北里さん」
駅の方向へ身体を向けたエリを呼び止める。
「はい」
「あの…」
突然の重い口調になった俺の顔を、エリが見つめ返す。
「良かったら、俺と付き合ってくれるかな」
「……」
「……その、真剣に…」
エリは俺の顔をまじまじ見つめながら、一呼吸置いて「はい」と言いながら頷いた。
「……いいの?」
「はい」
顔を赤く染めて、けれどいつものように笑顔を見せるとエリは改めて頷く。
「ありがとう」
「石岡さんといると楽しいです」
「孝之でいいよ」
「じゃあ、エリって呼んで下さい」
エリの笑顔に釣られるように、俺は笑顔を返す。
名残を惜しみながら、駅でエリと別れる。
雑踏の中に消えて、見えなくなるまで俺はその姿を見つめていた。
俺の心臓は終わることなく高鳴り続けていた。
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│2008/10/16(木)20:00
デザートのアイスをつつく間、微かな沈黙が二人の間に広がる。
エリが思い出したように口を開く。
「石岡さんって、彼女いるんですか?」
突然尋ねられ、一瞬ぎょっとし、狼狽する。
「え…か、彼女?」
「結構聞かれるんですよ。 他の課のコとかから。 石岡さん結構人気あって…」
エリはアイスを頬張りながら、ニコニコと見つめてくる。
「彼女なんて、いないよ」
「え〜、うそー」
「いない暦、ン年」
「何で別れたんですか」
陽気な声でズケズケと聞いてくるエリに、俺は正直に答える。
「遠距離になっちゃって。 彼女は田舎に帰って、まあ、よくある話」
「ふーん、それで…」
興味深そうに次の質問を投げかけようとするエリの言葉を遮る。
「北里さんは?」
「え?」
「北里さんは、彼氏は?」
「いないんですよ。 全然出会いもないし」
残念そうにつぶやき、軽いため息を漏らす。
「そうなんだ…」
俺もつぶやくような返事をしながら、内心は踊りだしたい気分でエリを見つめた。
「割り勘って言ったのに…」
レストランから遠ざかりながら、エリはブツブツと文句を言っている。
「会計のところでどっちがいくら出すなんて言い合ってたら、恥ずかしいでしょ」
憮然とするエリを諭しながら駅に向かって歩く。
駅に近づく度、二人だけの時間の終わりが近づくようで、切なくなる。
このまま進展のない状態で別れるのか、と焦りで胸が苦しくなる。
地下鉄の階段を降りながら、決意を固め、拳に力を込める。
額と手のひらに汗が滲み、鼓動が強く高鳴る。
「北里さん、よかったら、…今度、映画でもどう、かな」
少しつかえながら横に並ぶエリに問いかけた。
「今、話題のヤツ。 見てみたくてさ」
改札の手前でやっと伝えることが出来た。
エリはキョトンとしながらこちらを見つめ、いつものようにニコリと微笑む。
「いいですよ」
あまりのあっさりとした反応に俺の方が動揺する。
「本当に!?」
「はい。 今日奢って貰っちゃったから。 映画代は私に出させて下さいね」
明るく笑いながら、メールします、と言って改札を通っていく。
改札の向こうエリが手を振る。
軽く手を振り返すと、ひとつお辞儀をして彼女はホームへの階段に向かっていく。
順調すぎる成り行きに、彼女の身体から例のオーラが見えるのではないかと、注意深く後姿を見つめたが、ただ見えるのは、さらさらと流れる黒髪だけだった。
俺はまるで夢の中にいるような心持ちで、エリのいなくなった改札をしばらく見つめていた。
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│2008/10/13(月)20:00
両手を上に挙げて力いっぱい伸びをしながら時計を見上げる。
「ふーーー」
時間は夜の9時を回っていた。
ちょうどキリのいいところだろう、そう判断して席を立ちながらパソコンの電源を落とす。
薄暗い室内を見渡すと、誰もいないと思っていた室内で、パソコンの明かりに照らされた北里エリの姿が見えた。
「北里さん、まだ残業するの?」
二人しかいない夜の室内に、自分の声は大きく響くような気がする。
エリはディスプレイの脇から顔を覗かせた。
「石岡さんが帰るまで残業しようと思って。 もう帰ります?」
その言葉に俺はドキリと胸が鳴る。
俺のことを待っていたのだろうか…、そう考えて鼓動が早まる。
「一人だけだと怖いから、残ってる人がいるまで仕事しようと思ってたんです」
誰でもよかったのか、と反動で落胆する。
「仕事いっぱい残ってるの?」
「うーんと。 後は明日で大丈夫かな」
言いながらエリもパソコンの電源を切り、立ち上がる。
静寂が室内を包みこむ。
二人きりになれたチャンスに胸が高鳴る。
「お腹減ってない?」
緊張しながら意を決して問いかけ、エリの顔色を伺う。
「そうですね。 さすがにお腹空きますね」
エリはにっこりと微笑む。
大きな瞳に見つめられて、次の言葉が出遅れた。
「あ、…じゃあ、何か食べていかない?」
「え…、でも」
「大丈夫、おごるよ」
エリは少し考えるような仕草をしたが、
「じゃあ、割り勘なら行きます」
笑いながら承諾した。
1年近く想いを寄せていた相手と今、一緒にいる、それだけで胸が弾んだ。
気軽なイタリアンレストランで向かい合って、食事を取りながら、他愛のない会話をする。
好みの食べ物の話や、仕事の悩み、普段の生活や、テレビの話題、それらのひとつひとつが自分にとって財産のように心に刻まれていく。
初恋の時のようだと自分自身でも照れるが、エリの些細な動作、言動に胸が掴まれる。
けれど、肝心なことを聞くことが出来ない自分にイラついてもいた。
恋人はいるのか、そのことばかり考えている。
付き合っている人がいなければ、自分と付き合って欲しい、たったその一言、だが、その一言が言葉として出なかった。
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│2008/10/12(日)20:00
管理人名:むぎ









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